不動産売買契約書と聞くと、大金が動く契約になるので、売主と買主がそれぞれが契約書の原本を保有するものだと思われると思います。
契約書は互いに持っていないとダメという常識みたいなのがあったりしませんか?
現に携帯電話などの契約書でも、店舗側と購入者側どちらも原本を保有しているので、不動産屋も同じかと思われがちですが!
不動産屋が売主の売買契約書では、売買契約書の原本は1通しか作成せず、売主側の不動産屋は売買契約書のコピーを保有するのが一般的です。
なぜ契約書を1通しか作成しないのでしょうか?
結論から言うと税金が関係しております。
今回は、不動産屋が契約書の原本を保有しない理由について解説させていただきます
Contents
売主の不動産屋が売買契約書を2通作成しない理由は印紙税にあり。
不動産屋が売主の場合、売買契約書の原本を2通作るところはほとんどありません。
買主保有用の売買契約書1通と、売主は売買契約書に押印・印紙が貼付されたコピーを保有することになります。
なぜか?
不動産売買契約書は課税文書に該当する為、売買契約書の原本を作ってしまうと、売買代金に応じて印紙税が発生してしまうからです。
(納税義務者)
第三条 別表第一の課税物件の欄に掲げる文書のうち、第五条の規定により印紙税を課さないものとされる文書以外の文書(以下「課税文書」という。)の作成者は、その作成した課税文書につき、印紙税を納める義務がある。
2 一の課税文書を二以上の者が共同して作成した場合には、当該二以上の者は、その作成した課税文書につき、連帯して印紙税を納める義務がある。出典;http://www.houko.com/00/01/S42/023.HTM
具体的には1,000万円以上~5,000万円までが1万。
5,000万以上~1億が3万と、原本を保有することで印紙税を支払わなければならなくなってしまうからです。
購入者は1回だけの契約かもしれませんが、売主の不動産屋からしてみれば、何十回、何百回も契約がある為、契約を原本にすることで、印紙税だけで年間で年百万も課税されてしまいます。
これを節約するために、売主側の不動産屋は契約書に必ずこのような文言を入れております。
[aside]
本契約書を1通作成し、買主は原本を保有し、売主はその写しを保有するものとする。
[/aside]
この文言を入れておけば、売買契約書は1通でも、契約としては問題ありません。
課税文書の売買契約書のコピーだと印紙を張らなくてもよい理由
売買契約書の原本は課税対象ですが、課税文章のコピーを控えにすることで、印紙を貼らなくてもよいことになっております。(税務署に確認したこともありますので、ご安心ださい)
もちろん裁判になっても書類上は有効です。
売買契約書のコピーだからといって無効にされることはありません。
ただコピーのデメリットとしては、売買契約書の原本と比較されてしまった場合、原本が優先されてしまう事が上げられます。
もし悪意のある買主が売買契約書に加筆修正してしまったら、原本に加筆修正されてしまった方を優先されてしまうのです。
もしここで売主が加筆修正していない売買契約書を保有していれば、当然相違が生じますから、加筆修正した原本の契約書に対抗することが可能です。
では、原本に対抗するために、売買契約書に「売買契約書の写しも、原本と同様の効力とする」などの文言を入れてしまったらどうなるか?
この文言が入っていれば、売買契約書のコピーでも、上記のように悪意のある加筆修正に対抗することはできますが、原本と同様の効力=売買契約書(原本)の保管とみなし、コピーでも印紙税が発生してしまいますので注意が必要です。
控えと保存では似ているような言葉でも、全く意味が異なってきますので要注意です。
なぜ買主が原本保有で、売主がコピーでいいたった1つの理由。
買主が売買契約書のコピーは駄目だけど、売主はなぜコピーだけでいいのか?
その理由は、購入者である買主が、購入した不動産を売却する際に、購入時の売買契約書があった方が好ましい上、厳密に言うと購入時の所有権移転登記の際の証明書類として売買契約書の原本を使用するから。
これにつきます。
売主は、その不動産を売却したら特にその不動産について必要な手続きは全く持ってありません。
だからこそ売買契約書がコピーでも、売却さえうまくいけば後は別に関係ありません。
しかし、購入者は違います。
購入後の所有権移転登記の手続き及び、売却時後、譲渡所得税を支払する際、いくらで不動産を購入したかなどの必要書類として、売買契約書を求められるからなのです。
相続する際も同様です。
買主が印紙代を折半してほしいといってきた場合はどうする?
買主が印紙税を売主が負担しないのでずるい。折半しろ!って言ってくる場合がごくまれにあるそうです。
私は経験したことありませんが・・・
売主からしてみれば、コピーは原本を保有しないのに、原本を保有する買主の印紙税を負担してあげるというのもおかしな話。
これは断っていいものだと思います。
なぜならほぼすべての不動産屋の契約書の特記事項には「本契約書に貼付する印紙は原本を保有する買主が負担をする」という文言が必ず入っているから。
ただ印紙税ごときで契約が壊れるぐらいであれば、売買契約書を2通作成して、それぞれの契約書に印紙を貼付するという形が、丸く収まる方法だといえるでしょう。
まとめ
ココがポイント
☑不動産売買契約書は課税文書に当たる為、契約金に応じて印紙税を負担しなければならない。売買契約書のコピーを保有することで、コピー保有者である不動産屋は印紙税を払わなくてよくなる。
☑売買契約書のコピーは印紙税が払わなくてもよいが、その分裁判になったときに原本の効力が優先されてしまうので、原本に加筆されてしまったらそちらが優先されてしまうというデメリットがある。原本とコピーの効力を同様にするとコピーにも印紙税がかかるので注意。
☑買主が売買契約書の原本が必要な理由は、購入後の売却・相続で購入時の契約書が必要になるから。
逆に売主は売却の契約書は原本は必要なくコピーで十分だから。
印紙税を買主だけ負担するというのは、不公平だと思うかもしれません。
ただ実のところ、不動産屋も土地を仕入れするときは、原本を保有しておりますので、印紙税を支払っているのです。
つまり購入時の売買契約書は、一般消費者でも不動産屋でも原本が必要だってことです。
逆に売却時は売買契約書の原本は特に必要ないってことでOKです。
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