不動産屋が銀行ローンが難しいお客様に対しては、最終手段としてフラット35を使用する場合が多いです。
フラット35のメリットとは、35年間1%前後の固定金利で借り入れすることができ、なんといっても銀行ローンと比べて審査が緩いということが挙げられます。
しかし、変動金利で借り入れしたいと思っている方からしてみれば、いくら審査が緩いといっても、どの点で審査が緩いのかを理解できなければ、不動産屋の言いなりで審査をしたくないと思うでしょう。
今回はフラット35が通常の都市銀行と比べて審査が甘いという基準を4つのポイントでお伝えしていきたいと思います。
私が住宅営業マン時代に最終手段としてフラット35を使用しておりました。
ほかの銀行ではNGだった人が、フラット35での審査が通り、住宅を購入した人もいます。
フラット35が都市銀行と比較して審査が甘い4つの理由
[box class="glay_box" title="フラット35が都市銀行と比較して審査が甘い4つの理由"]
☑審査金利が実効金利(返済する金利)で審査する為!
☑仮に年収の10倍以上の借り入れをしても、返済比率内であれば借り入れすることができる。
☑勤続先・勤続年数・雇用形態は重視されない。(勤続1年未満であれば、給料明細で判断する)
☑団体信用生命保険は任意加入、健康面に問題がある人で審査ができる。
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1つずつ具体的に解説していきます。
審査金利が実効金利(返済する金利)で審査する為!
銀行ローンよりフラット35の審査のほうが甘いと言われる最大のポイントは、審査する金利が返済する金利(実効金利)で借入額の審査ができることにあります。
都市銀行や信金さんの審査金利というのは、変動金利の1%以下で審査するのではなく、金利が3%以上になっても支払能力の有無で審査をします。
※つまり都市銀行などでは、仮に変動金利の現在の金利が4倍上になっても、支払いができる方のみに貸し出しをしていることになります。
一方でフラット35は固定金利で1%台で貸し出しをするため、将来金利が上昇するリスクがありません。
よって審査する審査金利は、審査する月の実効金利で審査します。
仮に審査月の金利が1.2%だった場合は、1.2%の金利を審査金利とします。
審査金利が安いことによって、同じ金額を借り入れしようとしても、都市銀行の審査で求められている年収より低くても、フラット35であれば借り入れすることができるのです。
実際に審査金利が違うだけで、どれだけ必要年収に差が生じるかを、下記の補足で確認してもらえればと思います。
[aside]フラット35と銀行の必要年収の比較
35年ローンで3,000万円の借り入れをしたい場合、都市銀行とフラット35で必要年収の差額を算出してみます。
都市銀行の審査金利を3%・フラット35の審査金利を1.2%とし、年間支払額が年収の返済比率が35%になる金額を算出
※都市銀行の場合
3,000万円を年3%の金額で35年間借り入れすると月の支払額が115,455円
年間にすると:115,455×12=1,385,460円になります。1,385,460円が年収の35%にした場合、
1,385,460円×35%=484.9万円になります。実際には1の位は切り上げなので、都市銀行で3,000万円を借り入れするためには490万円以上の年収が必要です。
※フラット35の場合
3,000万円を年1.2%の金額で35年間借り入れすると月の支払額が87,510円
年間にすると:87,510×12=1,030,120円になります。
都市銀行同様に1,030,120円が年収の35%にした場合
1,030,120円×35%=360.5万になります。
実際には年収400万円未満の場合、返済比率が30%になりますので、400万円の年収であれば、返済比率に余裕をもって3,000万円の借り入れを行うことができます。
同じ金額を借り入れするにしても、フラット35で審査を行えば、約90万円の年収が低くても、都市銀行と同じ金額の借り入れを行うことができるのです。
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フラット35は借入額にに対して、年収が低い人向けの商品ということになります。
優良住宅ローン以外のフラットまとめはこちら
→フラット35の窓口はどこがいい?累計100件は決済した元プロがランキング形式で全力解説。
仮に年収の10倍以上の借り入れをしても、返済比率内であれば借り入れすることができる。
フラット35の返済比率は下記通りです。
フラット35の返済比率
☑年収400万円(税込)以上の方であれば、返済比率35%以下
☑年収400万円(税込)未満の方であれば、返済比率30%以下
返済比率とは、年間のローンの支払額に対して、年収400万円以上の方であれば、住宅ローンの支払額を、年収の35%以下に抑える必要があるのに対し、年収400万円未満であれば、住宅ローンの支払額を、年収の30%以下に抑えなければなりませんというルールです。
これは通常の都市銀行と同じ考え方です。
返済比率の審査基準は、都市銀行とフラット35は同じだということです。
しかし、都市銀行・信金の場合、年収の7倍以上借り入れを行おうとすると、仮に返済比率内に入っていたとしても、借り入れができないことがあります。
年収1,000万円の人が、審査金利3%にて、7,500万円の借り入れを行う場合、返済比率は34%ですが、借り入れができないということです。
しかし、フラット35の場合は、返済比率内に入っていれば、年収の7倍以上だろうが、10倍以上であろうが、個人情報に問題さえなければ、借り入れすることができます。
最近、信金さんが使用する保証会社(全国保証㈱)の審査金利が、変動金利の0.6%台を審査金利にしてくれることがあります。
上記の計算でいえば、フラット35よりも借り入れができる計算になります。
しかし、年収の7倍~8倍以上になると、返済比率が35%以内であっても、貸し出ししないのです。
勤続先・勤続年数・雇用形態は重視されない。(勤続1年未満であれば、給料明細で判断する)
都市銀行でローン審査を行う場合、まず最初に勤続年数が1年以上あることを求められます。
転職したばかりで家を購入するのであれば、都市銀行の住宅ローンは使用できないものだと思ってもらって結構です。(特に三菱は厳しい)
更に勤続年数以外にも、「勤続先にが上場しているか」・「正社員であるか」のこの2点をものすごく気にします。
特に正社員でなく、契約社員・パートの人・自営業が都市銀行で審査を行おうとすると、正社員でない故、年収の半分か、年収の80%程度の金額でしか評価されず、希望していた借入金額より程遠い結果の回答になってしまいます。
しかしフラット35は違います。
フラット35の場合、パート・自営業者・契約社員であっても年収を100%として評価してくれます。
よって、年収が希望借入額の返済比率内に収まっていれば、借り入れができる可能性があるってことです!
転職して1年未満の人であっても、別添資料で給料明細書3カ月分を用意することで、3カ月の給料金額から平均値を算出し、平均値×12で見込み年収として審査してくれる場合がほとんどです。
よって借入希望額に対して見込み年収が返済比率内に収まってしまえば、年収面での審査はクリアできるということになります。
自営業の方は実務で自営業者のフラット35本審査を通した私が伝えたい5つの方法と最終手段を参考に動くと良いでしょう。
注意
※年収面ではクリアできても、継続して返済できるかなどの属性面での審査が厳しいのは変わりありません。
年収面でクリアしても、住宅支援機構から追加書類を求められる可能性が非常に高いです。
追加書類を求められた場合、すぐに対応しましょう。
団体信用生命保険は任意加入、健康面に問題がある人で審査ができる。
フラット35の審査面が甘いといわれる最後のポイントは、健康面での審査になります。
都市銀行での借り入れを行う際は、必ず団体信用生命保険に加入しなければなりません。
団体信用生命保険とは、病気や事故で無くなった場合、借り入れしているローンの残高が0円になるという万が一の保険になります。
団体信用生命保険に加入するためには、過去に大病を患っていない、過去3年以内に入退院をしていない・現在服用している薬の有無などのアンケート形式で回答する必要があります。
アンケートの内容次第では、団体信用生命保険に加入することができず、団体信用生命保険に加入できなければ、年収面・勤続先でも問題がない人でも、都市銀行・信金さんでは住宅ローンの借り入れを行うことができません。
過去に大病を患った人は、ほぼ確実に団体信用生命保険の審査に落ちます。
フラット35は、団体信用生命保険の加入は任意の為、団体信用生命保険付きのローン契約を希望しなければ、団体信用生命保険の審査はありません。
よって健康面で不安がある方でも、フラット35を使用すれば、住宅ローンを借り入れすることができます。
ココに注意
ガンや脳梗塞などの大病を患ったことがない人でも、リウマチ・鬱・統合失調症などの薬を服用しているだけでNGになったケースがあります。
参照:【悲壮】ブラック企業で消耗して鬱になると家が買えない?保険が使えない鬱でも住宅ローンを借りる3つの戦略とは
健康面で不安がある人は、都市銀行の審査と合わせて、フラット35の審査も同時並行して行うことをオススメしております。
審査基準が甘いからと言ってローンが通るとは限らない。フラット35が銀行ローンと比べて審査基準が厳しいポイント
フラット35の審査は都市銀行・信金さんとの審査基準を比べて上記の4つのポイントが甘いといわれている理由です。
しかし残念ながらローン審査が必ず通るといったらそれはありません。
フラット35の審査基準は確かに甘いですが、下記の点では、都市銀行や信金さんと比べて審査基準が厳しいと感じます。
ココに注意
☑外国の方には絶対に貸さない(永住権なしはNG)
☑購入する物件と現在の住所との距離が遠いと厳しい(投資用ローンとみなされる。)
☑担保評価はかなりシビア
1つずつ解説していきます。
外国の方には絶対に貸さない(永住権なしはNG)
フラット35の特徴として、永住権を持っていない外国人は審査基準に該当しません。
フラット35を借り入れできる人は日本人のみということになります。
私が住宅営業マンとして働いていた場所は、外国の方も物件を購入してくれたエリアだったため、フラット35を使用できないのはかなりの痛手でした。
しかし都市銀行では、物件に対して頭金2割以上必要などという条件はありますが、永住権がなくても住宅ローンを貸してくれる場合があります。(三井住友銀行・三菱銀行)
国際結婚をしている場合、永住権がないとフラット35は使用できない為、注意が必要です。
購入する物件と現在の住所との距離が遠いと厳しい(投資用ローンとみなされる。)
転勤が決まり、転勤先で住宅を購入しようとする場合は注意が必要です。
過去に私が、名古屋物件を持っている人が、会社の転勤が決まり、関東内で物件を購入しようとした際に、フラット35を使用したところ、投資用として疑われたことがあります。
もし投資用と疑われた場合、下記の資料が必要です。
☑移動先の異動届・投資用ではない旨の誓約書
☑所有している物件の一般媒介契約書・売買契約書など
転勤するから購入する旨を、銀行に書類で説明する必要があります。
その際に銀行から求められるのが、転勤を証明する異動届や、誓約書です。
転勤が決まったときの異動届が出せる会社であれば、全く問題はありません。
サクッと提出しましょう。
しかし会社によっては異動届などの書類を作らない会社があります。
(私のお客様もそっちの会社でした。)
書類を作らない会社の場合は、誓約書を書いてもらう必要があります。
転勤したことを理由に住み替え先を探しているというような内容です。
物件を所有している場合は、住み替え先に住むことを証明する為に、売却を依頼するための書類(一般媒介契約書)やすでに売りますという(売買契約書)の写しを銀行に提出する場合があります。
(フラット35の場合)
一方で都市銀行のこの辺の審査が緩いところは、借り入れした後に、住民票を新しい購入先の物件にに移せばOKの場所もあります。
担保評価は都市銀行よりもかなりシビアにみる!!
住宅ローンの内容は「あなたの資金面・勤続先」「購入先・紹介してくれた不動産屋(提携の有無)」「物件の担保評価」の3つの項目に分けられます。
つまりあなたの収入面での返済比率面での審査でクリアしていても、借入金額に対して、物件の担保の評価が取れない場合は、審査が通りません。
(4,000万円の借入希望に対し、3,600万円の物件の価値しかなければNG)
都市銀行よりも審査金利が低い為、年収が低くても借入金額が伸びます。
年収に対して、無理して借り入れができても、実際に返済できない状態に陥りやすいのもフラット35です。
その結果、フラット35は都市銀行と比べて返済ができずローン破綻をしている人が多いのです。
フラット35で住宅ローンを借り入れしている人がローンの支払いができなくなった場合、購入した物件を売却し、ローンの返済に充てます。
この時に物件の評価が低ければ、住宅ローン残高分まで売却することができず、結果として住宅支援機構が損してしまいます。
住宅支援機構が損しない為にも、年収が低くても貸し出しするけど、物件の担保評価だけはしっかり見るよっていうのがフラット35です。
現に私が前に在籍していた会社でのローン解約の半分は、フラット35で借り入れをしている方で、更にその半分が担保評価が原因で解約しておりました。
私道のみに接している物件を購入する方、物件の担保評価が伸びない傾向があります。
フラット35で購入する場合は注意が必要です。
まとめ
フラット35は審査金利が低い事で、自営業者や契約社員などでも通りやすい甘いローンですが、担保評価面での審査は都市銀行と比べてかなり厳しいです。
フラット35の事前審査が通っても安心してはいけません!
なぜなら事前審査時ではOKでも、本審査ではNGになる良くあることで、ローン解約をする一番の原因になっております。
フラット35は低金利の固定金利で借りられる良い商品です。審査が甘いなどの理由以外にも、固定金利を希望している人にはとても良い選択肢の1つになります。
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