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土地購入のポイント

都市計画道路内の立ち退き料と補償はいくら?購入後に損しないルール3選

投稿日:2018年4月28日 更新日:

利便性良くする、延焼を避けるために、将来的に拡幅する道路のことを都市計画道路と言います。

都市計画道路内の物件とは道路の拡幅ラインの中に入っている物件のことです。

こんな感じ。

都市計画道路内にかかっている土地は、道路を拡幅することが事業決定されると、最終的には市役所に道路用地として購入した土地を売却することになります。

これを恐れて都市計画道路内の物件を検討すらしない方がおりますが、非常にもったいないことをしております。

なぜなら・・・

 

都市計画道路内の立ち退き料と補償がとても手厚いから!!

 

これらをうまく利用できれば、住み始めて古くなった家も、お金をかけずに建て替えすることもできます。

しかも場合によってはお金が儲かるっていうことだってあるんです!

しかし、都市計画道路内の物件であればなんでもいいわけではありません。

都市計画道路内の物件を検討するためには3つのルールを守っていただく必要があります。

 

これを守らないと不要な土地だけが余ってしまうってことにもなりかねません。

今回は都市計画道路内の物件を購入するための3つのルールと、都市計画道路内の立ち退き料と補償についてご紹介していきます。

 

都市計画道路内の立ち退き料と補償はいくらぐらいなの?

 

都市計画道路の施工が事業決定し、工事が着手された場合、役所は道路用地提供者に対して以下の項目で支払うことになります。

[aside]都市計画道路の立ち退き料と補償の項目

☑道路提供する土地の価格(路線価~時価価格)

☑道路提供する土地に建築されている建物(再建築費用)

☑仮住まい費用・引っ越し費用(上限あり。)

☑計画道路内の造作物(門・花壇など)

[/aside]

一つずつ解説していきます。

 

道路提供する土地の価格(路線価~時価価格)

 

道路提供する土地を役所に売却するわけですから、土地の売却価格を決めておかなければなりません。

役所が土地の買取価格としてベースにしている価格は、道路に値段をつけて、1㎡あたりいくらを判断する「路線価」を使用します。

[aside]路線価の計算方法のイメージ

前面道路が1㎡あたり10万円とし、300㎡の土地を持っていた場合。

10万×300㎡=3,000万円(路線価価格)

[/aside]

路線価は相続時に不動産の評価を表す際に使用することから、不動産売買の価格を決める大きな指標の1つになります。

但し私たちが役所に土地を売却する際に路線価で売却してはいけません。

 

路線価は時価価格(相場)の75%~80%に調整されていることが多く、路線価で買取されてしまうと、あなたが損してしまう形になります。

役所は道路提供してもらわないと計画が成り立たないわけですから、ここは強気に時価価格で買取してもらうように交渉しましょう。

 

道路提供する土地に建築されている建物(再建築費用)

 

計画道路内の物件を購入する最大のメリットは、どんなに古くてボロボロの建物でも、同じ建物を再建築する際にかかる費用を負担してくれるということです。

つまり建物の価値はほとんどない状況でも、同じ建物を新築として扱ってくれるのです。

通常ボロボロの建物を売却する場合は、建物価格の価値は無いものとみられるか、逆に解体費を請求されてマイナス面にしかなりません。

 

しかし計画道路の買取の場合は違います。

計画道路を完了させるためには、多少法外な価格でもその土地を手に入れなければなりません。

役所は立ち退きを断られないためにも、再建築費用を出すから土地を譲ってくれというスタンスの為、ボロボロの建物でも買い取ってくれるのです。

但しこれには条件があります。

条件を守らないと、建物を買い取ってくれるどころか、建物の一部を解体されてしまうので注意が必要です。

 

計画道路内の造作物(門・花壇)

 

建物の再建築費用だけではありません。建物の庭などにある造作物(門・花壇)などすぐに動かせないものについても補償の対象になります。

補償金額については、各自治体で変わってきます。

 

仮住まい費用・引っ越し費用(上限あり。)

 

建物を役所に譲るのですから、建物を再建築するまでの間の仮住まい費用と引っ越し費用を役所に補償してもらえます。

但し仮住まい費用について、各役所で上限があり、50万円迄のところもあれば、30万円迄のところもあったりします。

計画道路内を行う自治体によって金額や期間が異なる為、補償内容を確認しておきましょう。

 

計画道路で1,000万円儲かった事例もあり、通常の取引ではない迷惑料をもらって得している人もいる。

 

計画道路の立ち退き料と補償で購入時から1,000万円以上も儲かった事例も中には存在しております。

1000万儲かったケースも。じつはおいしい?「立ち退き」事情

 

都市計画道路の用地買い取りは通常の土地売買と違うところが1つだけ違うところは、「思い出・迷惑」などの精神的な要素が価格に反映するということです。

ボロボロの建物でも再建築費用を出してくれるのには、この思い出・迷惑などの精神的な部分が大きくかかわってきております。

特にお店を経営されている人は、計画道路の立ち退きによって、既存のお客様を逃してしまうことから、通常の住宅の立ち退き料と補償よりも手厚いそうです。

中には計画道路が始まるとわかった瞬間にお店を始める人もいるくらいです。

 

計画道路内の土地取引は、役所が絶対に必要だという気持ちが、理不尽な取引だとわかっていても、それを受け入れざる得ない背景があるとも言えます。

 

都市計画道路の物件は必ず得をするわけではない!損しない為に絶対に守ってほしい3つのルール

 

都市計画道路の物件は必ず得するわけではありません。

むしろ、計画道路の物件で失敗すれば、買い取り価格もそこまで伸びず、土地面積も減り、残った土地に再建築もできず、残った土地には固定資産税が毎年かかるなどの最悪な状況になるのです。

よって、通常の物件よりリスクが高いのは間違いありません。

そこで損しない為に絶対に守るべき3つルールはこちらです。

都市計画道路の購入前の3つのルール

☑計画道路ラインに建物が半分以上かかるか?

☑道路用地提供後でも再建築できる土地面積はあるか?もしくはすべてなくなるか?

☑役所に計画道路買取時の補償内容を事前に確認しておく

これら1つずつ解説していきます。

 

計画道路ラインに建物が半分以上かかるか?

 

購入する・建築する建物の半分が、都市計画道路の道路拡幅ライン状にかからないと、建物は再建築すべきとみなされず、建物の一部を壊して、修繕費用しかもらえないということになりかねません。

建物が壊された上に、建物全体の費用ではなく、補修費しか出ないのであれば、建物なんて壊したくないと思うのが普通です。

しかし、自治体が建物の再建築費用を算出するためには、建物を半分以上壊す場合でないと、再建築費用を出さない自治体がほとんどです。

 

現に、東京都北区上十条の補助83号線がこの問題になっております。

建物の一部しかかかっていない計画道路の物件は、将来のリスクしか追わないデメリット物件でしかありません。

よっぽどの条件が合わない限り購入は見合わせるべきです。

 

道路用地提供後でも再建築できる土地面積はあるか?もしくはすべてなくなるか?

 

土地を役所に提供後、残った土地に対して建物が建てられるかどうかを確認しなければなりません。

仮に100㎡(30坪)ある土地に計画道路として用地提供を33㎡(10坪)行った場合と、66㎡(20坪)を行った場合で比較してみます。

100㎡の土地を33㎡の道路提供をした場合、残りの土地面積が67㎡残ります。

67㎡あれば、3階建ての4LDKが建築できますので、再建築する建物が3階建てになっても問題がなければ、この土地は購入してもOKです。

 

一方100㎡の土地を66㎡道路提供を行った場合はどうなるでしょうか?

残る土地面積は33㎡と10坪になる為、満足する住宅を建築することができません。

更に住宅ローンは土地面積40㎡以上が対象になる為、住宅ローンも使えない土地ということで、土地の価値が一気に下がります。

更に33㎡に対しても固定資産税が毎年かかってきますので、持っているだけで無駄な土地になります。

現実、駐車場か自動販売機事業としてしか使えないでしょう。

 

余った土地は買い取ってくれないのが役所。道路提供拡幅後三角形の土地になったら最後・・・

道路拡幅後に余った必要のない土地を役所が買取ってくれるのか?

答えはNO!です。

役所は計画道路事業を行うのに膨大な費用が掛かっているため、必要のない土地を購入することはできないのが実情です。

 

もし道路拡幅後に面積の小さい変形字型の土地だけが余ってしまった場合・・・役所は買い取ってくれませんので、固定資産税を毎年払い続けることになります。

こうならないように、計画道路の拡幅ラインを事前に確認し、残った土地の面積を事前に計算する必要があります。

 

役所に計画道路買取時の補償内容を事前に確認しておく

 

都市計画道路内にかかっている物件を購入するのであれば、不動産屋に確認するだけではなく、直接管轄の役所に聞いておくことを強くオススメします。

管轄の役所によって、立ち退き料・補償の考え方が全く異なります。

さらに細かい話になると、道路提供を行う際のお金の支払方法も、契約時に最初に8割払ってくれる役所もあれば、最初に半分しか払わず、道路完成後に残りの半分を払う役所もあります。

 

お金の受け取る時期によって、仮住まい・新居購入時に自己負担が必要になるので、お金の支払時期も確認しておきましょう。

[voice icon="https://xn--m9jq034wlmltzdpwf98c3t1dybzb.com/wp-content/uploads/2018/04/akidaisama.jpg" name="元住宅営業マンの秋月" type="l"]

私が計画道路について詳しく紹介できるのも、計画道路内の建売用地を購入する時に役所に聞きまくったからです。仲介会社の営業でも計画道路の実務の流れを知らない人も多いので、役所に自分で確認することをおすすめしてます。[/voice]

 

注文住宅を検討している人は、都市計画道路内の土地は要注意!建築する建物によっては建築許可が下りない。

 

注文住宅で4階建て以上の建物を建築する人は、計画道路内の土地を購入するのは見合わせたほうが良いです。

なぜなら都市計画道路内の土地に建物を建築する際には、都市計画法第53条の許可が必要になります。

都市計画法53条とは、簡単に言うと、将来道路にする土地に移動や解体が困難な強固な建物を建ててはダメというルールになります。

下記が東京都の都市計画法53条の内容です。

 

【新たな建築制限の基準】
当該建築物が、次に掲げる要件に該当し、かつ、容易に移転し、又は除却することができるものであること。

  1. ⅰ 市街地開発事業(区画整理・再開発など)等の支障にならないこと。
  2. ⅱ 階数が3、高さが10m以下であり、かつ地階を有しないこと。
  3. ⅲ 主要構造部が、木造、鉄骨造、コンクリートブロック造、その他これらに類する構造であること。
  4. ⅳ 建築物が都市計画道路区域の内外にわたり存することになる場合は、将来において、都市計画道路区域内に存する部分を分離することができるよう、設計上の配慮をすること。

出典:東京都都市整備部

 

東京都では3階建て以下の10m未満の建物であれば、53条の許可をほぼ確実にもらえますが、これが10m以上のお店を建築するとなると、53条の許可がもらえず、建築NGになります。

東京都ではかなり緩和されておりますが、本来の都市計画法53条のルールとしては、2階建て以下・地下を設けない住宅が該当してきますので、要注意です。

東京都以外の都市計画道路内の土地に3階建ては基本建てられません。

 

都市計画道路内の土地に注文住宅を建築する人は、事前にハウスメーカーと相談しながら設計していくことになります。

 

まとめ

 

都市計画道路内の物件は、相場よりも10%程度安く販売されているケースも多いので、上記の3つのルールを守って購入することができるのであれば、都市計画道路内の物件も検討すべきでしょう。

ただせっかく買ったのに移動したくない方は、都市計画道路内の物件はリスクしかありませんので、購入は控えておいた方が無難です。

元不動産屋:秋 だい

都市計画道路内の物件は将来のリスクが大きいので、不動産屋に調査を任せっきりにするのではなく、購入者自身で役所にヒアリングできればベストです。

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