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家購入前の予備知識・契約後から引き渡しまで

新築住宅にクーリングオフは使える?手付金を払わず契約解約する条件7選をプロが解説

投稿日:2018年5月18日 更新日:

住宅購入の難しいところは、ご案内時にものすごく気に入り、ほかのお客様に先に越されないようにして契約してしまいがちになるところです。

勢いで新築戸建てを購入してしまいあとから冷静になって考えると、なぜあの物件を購入したとひどく後悔される方が多く存在します。

とはいえ、慌てて契約してしまったとはいえ、契約には変わりありません。

契約を解除するためには支払った手付金放棄するのが一般的なのですが、ある条件内での契約であれば、クーリングオフで解約することができるのです。

今回は慌てて契約してしまった不動産売買契約を、手付金を放棄せずにクーリングオフで解約するための7つの条件をご紹介させていただきます。

元不動産屋:秋 だい

最初に言っておきますが、売主はプロです。

キーワードは「申込をした場所」ここですべて決まります。

クーリングオフができる状態だったらラッキーだと思って即行動しましょう。

また放置しておくと手付流しだけでは済まなくなります。

 

新築住宅をクーリングオフで契約解約する8つのポイント

ココがポイント

☑売主は不動産会社or個人のどっち?不動産会社以外はクーリングオフの適用はないので注意

☑そもそもクーリングオフの条件を満たしていないかも?購入申込書をどこで記入したかがポイント

☑クーリングオフの8日の期間は契約した日も含む

☑クーリングオフができる旨を口頭説明はNG!

☑引渡し及び売買金額すべて支払った場合はクーリングオフは使えない。

☑クーリングオフで解約するときは口頭はNG。必ず書面で発送する事。

☑支払った手付金は戻ってくるの?クーリングオフを使ったら損害賠償されるのかが心配

1つずつ解説していきます。

売主は不動産会社or個人のどっち?不動産会社以外はクーリングオフの適用はないので注意

契約した不動産をクーリングで解約する為には、まず売主が不動産会社か個人の方なのかによって、クーリングオフが適用できるかどうかが決まります。

売主が不動産会社の場合は、個人対プロということで、クーリングオフの適応が認められております。(不動産会社売主の場合は自ら売主8種制限に該当)

なぜなら、売主が不動産会社の場合の取引すべてが宅建業法に該当する為、宅建業法第37条2項のクーリングの義務も離さないといけないからです。

 

一方で売主が個人及び不動産会社ではない売主の取引の場合、個人間の取引扱いになるので、不動産を売却しても宅建業法に該当しません。

よってクーリングオフは適用外になります。

売主が個人の方で、仲介会社経由で物件を購入したとしてもクーリングオフは使えません。

契約書通りに取引を進める形になりますので、解約する場合は手付解除、手付解除ができない場合は違約金を支払って解約することになります。

 

そもそもクーリングオフの条件を満たしていないかも?購入申込書をどこで記入したかがポイント

 

不動産会社で購入したからといってクーリングオフが絶対使えるかというとそうではありません。

そもそもクーリングオフが使える条件を満たしているかがポイントになります。

そのポイントは、「購入申込書(買い付け)」をどこで記入したかが問題になってきます。

結論から言うと、「売主の事務所・ショールーム・仲介会社の事務所」などで購入申込書を書いたらクーリングオフはできません。

 

あきらめてください。

 

しかし、物件の現地や、テント張りの事務所、自分から指定していないカフェなどで購入申込書を書いたのであれば、仮に後日売主の事務所で契約したとしても解約することができます。

実際に宅建業法37条2項の条文を紹介します。(難しいので読み飛ばしても結構です。)

(事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等)
第三七条の二 宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約について、当該宅地建物取引業者の事務所その他国土交通省令・内閣府令で定める場所(以下この条において「事務所等」という。)以外の場所において、当該宅地又は建物の買受けの申込みをした者又は売買契約を締結した買主(事務所等において買受けの申込みをし、事務所等以外の場所において売買契約を締結した買主を除く。)は、次に掲げる場合を除き、書面により、当該買受けの申込みの撤回又は当該売買契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。この場合において、宅地建物取引業者は、申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。
出典:http://www.houko.com/00/01/S27/176.HTM

 

難しい文言が沢山書いてありますが、要は購入申込書と契約場所が異なっていた場合、購入申込書を書いた場所を優先しますよって話です。

なぜか?

購入申込書は意思表示と解釈し、意思表示が判断できない場所でしてしまったために契約したと宅建業法はみなしております。

クーリングオフをするときの考え方として超重要なんで覚えておいてください!

知恵袋や、場合によっては不動産会社の人でも契約場所を優先と思っている奴が多すぎます。ちがいますよ!民法は意思表示が重視されるんです。

 

ただし、後述でお伝えしますが、契約時に書類にてクーリングオフの説明を受けた場合は、契約日から8日間はクーリングオフにて解約することができますが、それ以降のクーリングオフでの解約は認められなくなります。

また購入申込書を記入する際に、購入者が指定した場所や勤務先で購入申込書を記入した場合は、クーリングオフの適用はありません。

[aside]購入申込書を書かずに契約してしまった場合はどうなるの?

購入申込書を書かずに契約してしまった場合は、宅建業法上、意思表示をせずに契約したということになりますので、クーリングオフは適用されます。

ただし、契約時に書類にてクーリングオフの説明を受けた場合は、契約日から8日間はクーリングオフにて解約することができますが、それ以降のクーリングオフでの解約は認められなくなります。

 

クーリングオフの8日の期間は契約した日も含む?

 

クーリングオフの起算日の起算日が契約した日からなのか、それとも契約した翌日なのかでたまに質問をいただきます。

結論から言うと、契約した日から8日間がクーリングオフの対象期間になります。

購入申込書を記入した日から8日でもありませんので、要注意です。

ただし契約日から8日間の期間と適用されるためには条件があります。

 

クーリングオフができる旨を口頭説明はNG!書面で説明しない限り、クーリングオフの起算日の開始にはならない。

 

購入申込書を記入していないor購入申込書を現地で書いたとなると、契約後いつでもクーリングオフが使える状態に・・

そこで宅建業法をしっかり理解している売主業者は、契約時にクーリングオフの書類を提示し、買主は説明を受けましたという意味でサインをします。

ここで初めてクーリングオフの起算日になる。

しかし、重要事項説明の際に口頭で説明をしたり、そもそもクーリングオフの説明すらしない場合は、契約日から8日の起算日に該当せず、ずっとクーリングオフが使える状態になります。

つまり購入申込書を書いていない、クーリングオフを書類での説明を受けていないの条件が重なったとき、焦って購入した物件をクーリングオフで解約することができます。

 

クーリングオフは書面で説明されていなくても永遠ではない。引渡し及び売買金額すべて支払った場合はクーリングオフは使えない。

 

書類で説明も受けていない。購入申込書を事務所で書いていなくても、さすがに売買代金の全額を支払い、更に引き渡しも受けている状態でクーリングを行うことはできません。

こんなことができたら取引の安全性に問題が発生します。

戸建て住宅の残金決済は、割賦払い(数回に分けて払う)ではなく、一括支払いになっております。

よって残金決済が無事終了したのであれば、クーリングオフができません。

当たり前ですね。

新築引き渡し当日までに売主が約束を守らない?残金決済の流れと3つの注意点を元プロが解説します。

 

クーリングオフで解約するときは口頭はNG。必ず書面で発送する事。

 

クーリングオフで解約するときは、相手先に電話して解約する旨を伝えるだけでは駄目です。

必ず、クーリングオフで解約する意思表示を書面に残して売主に郵送する必要があります。

クーリングオフは一方的契約の解除に該当するので、売主がダメといっても解約すことができます。

クーリングオフは期限は8日と決まっておりますので、8日以内に発送をすればよいのか、それとも8日以内に相手方に届くようにしなければいけないのかという疑問が出てくるでしょう。

 

答えは、発送した日が8日以内であればOKです。(クーリングオフは発送主義)

民法では、意思表示は相手方に到達したときに効力が生じますが、クーリング・オフでは書面を発信した時に効力が生じます。このことは、クーリング・オフ期間の最終日になって書面を発信すればよく、相手方への到達日がクーリング・オフ期間を経過した後でもかまわないことを示しています。

しかし、発信したことを証明できる方法で通知しなければ、トラブルになる可能性がありますので、注意が必要です。

出典:行政書士スカイ法律事務所

 

但し、8日以内に発送したことを証明する必要があります。仮に8日以内に発送したからといって、それを法的に証明することができなければ、クーリングオフの期間外に送ったことになってしまう恐れがあります。

クーリングオフの書類を送るときは、日本郵便の内容証明で送るようにしましょう。

 

内容証明とは、配達する書類の内容及び、差出人の住所・氏名・宛先の住所・差し出した日付を日本郵便が証明してくれる郵送の仕方です。

裁判で内容や差し出した日付を証明するときにも認められている方法なので、普通郵便で送るのではなく、内容証明で送るようにしましょう。

元不動産屋:秋 だい

ちなみに書式はなんでもOKです。

グーグルでクーリングオフ書類を調べることができますので、書きやすい書式を選んでクーリングオフ書類を作成しましょう。

 

支払った手付金は戻ってくるの?クーリングオフを使ったら損害賠償されるのかが心配

 

クーリングオフを使った解約であれば、支払った手付金は必ず戻ってきます。

3.申込みの撤回等が行われた場合においては、宅地建物取引業者は、申込者等に対し、速やかに、買受けの申込み又は売買契約の締結に際し受領した手付金その他の金銭を返還しなければならない。

出典:Wikipedia

 

宅建業法上定められているので、手付金の返却を拒んだ場合は、宅建業法違反になります。

また売主の不動産会社が迷惑料として損害賠償を請求してきた場合はどうなのでしょうか?

それも支払わなくてOKです。

宅建業法37条2項の最後の文章に損害賠償を請求できない旨が記載されております。

 

そもそもクーリングオフは立場の弱い素人を守るための条例なので、立場の強いプロを守っていたら全く意味のなさない条例になってしまいます。

ただそうといっても、現実手付金が戻ってこなかったり、損害賠償を請求された場合はどうしたらよいのでしょうか?

一番手っ取り早く不動産会社を黙らせる方法はあります。

それは名刺に書いてある免許番号の都道府県知事に連絡する事です。

 

ありのままの事実と証拠を提示してください。

すると免許都知事が不動産会社に指導が入りますので、特に悪質な場合は免許剥奪により、営業すらできなくなってしまいます。

よって免許停止リスクをたった数十万~200万円程度の手付金返却と比較した場合は、免許停止の方がリスクが高いですからちゃんとお金が返ってきます。

(帰ってこなかった場合も取得する方法があるのでご安心ください。ここでは触れません。)

不動産屋が倒産してしまった場合は、払った手付金は返ってこない?引渡し前に不動産屋が廃業時の対処法をご覧ください。

 

注文住宅の場合は要注意!建物の請負契約書にはクーリングオフの規定はない!

 

今までのクーリングオフの話は不動産会社が売主だった場合の話です。

ハウスメーカーと建物建築の契約をした場合は宅建業法に該当せず、請負契約になりますのでクーリングオフの規定はありません。

注文住宅の土地購入は売主が不動産会社であればクーリングオフはできます。

しかし上物である建物についてはクーリングオフはできないのです。

 

請負契約とは請負人(ハウスメーカー)を守るための契約です。

 

請負人があなたの為の家を建築する為に使用する材料費をすでに負担しているにも関わらず、注文者(購入者)の都合で「クーリングオフしても請求しないでね。」と言われても請負人が困ってしまいます。

注文者(購入者)の都合で請負契約を解約する際は、請負人が成果物を作成する為に要した費用に加え違約金を支払わないと契約は解除できません。

 

また解約するのにも期限があり、成果物が完成するまでの間でないと解約ができません。

成果物ができた場合は解約することができず、損害賠償という形になります。

注文住宅を購入する方は、請負契約を必ず結びますので、クーリングオフが使えないことを覚えておきましょう。

クーリングオフが使えるのは建売購入の時だけですね。

 

まとめ:クーリングオフと合わせて重要事項説明書も確認しておこう。

 

新築戸建てを購入した後にでもクーリングオフが使える状況をまとめます。

ココがポイント

☑クーリングオフが適用は売主が不動産会社の時に使える。売主が個人・ハウスメーカーは宅建業法に該当しない為、クーリングオフが使えない。

☑購入申込書を記入した場所と契約した場所が異なっていた場合は、購入申込書の記入した場所を優先する。

☑クーリングオフは口頭ではNG、必ず日本郵便の内容証明にて書類を送る事。書式は問われていない。

不動産会社もプロなので、クーリングオフが適用できない状態で契約をしてくると思います。

新築契約前の重要事項説明書は難しい?中学生でもわかるように解説【重説まとめ】

ただ上記の内容に該当していれば、クーリングオフができますので、慌てて契約してしまった不動産契約を解約できるかもしれません。

クーリングオフが使える状態であれば、まずは宅建協会に問い合わせをしてみてはいかがでしょうか?

そうならない為にも、相見積もりでクーリングオフしたくなるような物件を契約しないことが一番の対策です。

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