建売や売り地情報で殆どのエリアが馴染みのない借地権。おそらく不動産に詳しい方や宅建を持っている人でないとあまり聞いたことがない言葉だと思います。
それもそのはず、戸建て住宅では東京都以外の販売している会社は私は見たことがありません。
マンションだと借地権付きの新築マンションは最近多いような気がします。
一般的な不動産売買は土地の所有権を売買しますが、借地権は、簡単に言うと土地を借りる権利を売買することです。土地を所有するわけではありません。
そのため、借地権のメリットの1つに土地の固定資産税・都市計画税を一切払わなくても良い事が挙げられます。
東京都内の物件は、欲しいと思っているエリアに土地情報が一切出ないので、エリア重視で探すなら総額も安く、好立地な借地権を検討する方が割と多いです。
では借地権には固定資産税以外にどんな税金がかかるか?
今回は借地権の税金をまとめて解説させて頂きます!
今回ご紹介させて頂くのは、借地権の税金のみなので、名義変更料・譲渡承諾料・更新料については触れません。
別記事でご紹介させて頂きます。
Contents
なぜ借地権は固定資産税が0円なのか?
借地権は土地に関して固定資産税・都市計画税が一切かかることはありません。
では誰が負担するのか?固定資産税・都市計画税は地主さんが負担します。
そもそも所有権とは以下の通りに成り立っております。
・借地権(土地価格60%~70%)+底地権(30%~40%)=所有権
多くの方は所有権と借地権は全くの別物だと思っている人が多いですが、借地権はあくまでも所有権の一部に過ぎません。
地主さんは底地権を所有していることになります。
借地権とは所謂土地を借りる権利です。土地を借りて使用する権利が与えられ、その代わり地主に地代を毎月払う必要があります。(基本的には登記できない/地上権は別)
底地権とは所謂管理している人のことを指し、登記簿記載されているので、固定資産税・都市計画税の請求はすべて底地権所有の地主に請求が行きます。
現段階の借地権借家法は、地主よりも借主の方が保護されているため、立場上は地主の方が上でも、権利上では借りている人に対して大分手厚い保護があります。
よって借地権は、立地条件に拘って総額も安く済ませたいと思っている都内在住の方は立派な選択肢の1つになります。
ココに注意
固定資産税が掛からない借地権にかかる税金一覧 まとめ
不動産取得税(新築戸建てなら基本的に0円)
不動産を購入すると、購入したエリアの都道府県から半年後頃に不動産取得税が課税されます。
借地権の場合は土地の所有権を得たわけではありませんから建物に対して不動産取得税が請求されますが、建売などの新築戸建であれば1,200万円の減税措置がありますので、基本的には不動産取得税はかからない物だと思ってもらって結構です。
不動産取得税の目安金額はいくら?新築戸建ての税額を計算して解説
登録免許税(建物の抵当権設定と保存登記が主)
登録免許税とは、購入者名義に登記を入れる際に発生する税金ですが、借地権の場合は土地に登記ができませんので、土地の登記費用がかからない分、通常の所有権売買に比べてかなり安くなります。
銀行の抵当権も建物のみにしか設定登記ができないため、建物の保存登記・抵当権設定登記の2つになります。
印紙税(借地権だからと行ってかからない訳ではない)
印紙税は少なくても3回は印紙を貼る必要があります。
1回目は借地権売買時に起こる売買契約書に貼付する印紙。3,000万円の借地権付き建売を購入した場合は1万円の印紙税。
2回目は、銀行との金銭消費貸借契約時(ローン契約時)に貼付する印紙が20,600円(固定金利だと6万ぐらい)
3回目が地主との賃貸借契約時に貼付する印紙で、これは200円の印紙でOK
所有権と比べて3回目の印紙代が地味に200円多めにかかるぐらいで、所有権と印紙税は全く変わらないのが実情です。
→5000万円以上の建売は要注意。印紙税が2万安くなるかもって話
相続税(借地権の評価額は路線価の60%が相場)
借地権を所有している方がなくなった場合、土地を借りているからと行って、土地に対して全く財産がないわけではありません。
土地を借りている権利!売れるんですよね。
その土地を借りている権利に対して相続税が課税されます。
相続税を課税する際に、借地権の価格を算出するには国土交通省が年1回更新している路線価を使用します。
コチラの画像が路線価そのものですが、道路に値段が付いており、値段が付いている道路に接している土地を算出する事ができます。
この画像では、290Dと書いてありますが、290とは1㎡当たりの単価で1,000円単位になっております。そのため1㎡29万円の土地ですよって事。
100㎡(30.25坪)の場合は2,900万円がこの土地の所有権で所有しているときの財産って事になります。
隣のDと言う文字が借地権割合を指します。
Dは60%と記載されておるため、上記の条件で借地権を持っていた場合は(1,740万円)が借地権の価格と言うことになります。
つまり、相続税で加算されるのが1,740万円なので、ほかに財産を所有していれば相続税は課税されます。
贈与税
借地権を所有している親が子に贈与した場合はどうなるのでしょうか?
当然ですが、贈与税が発生します。
上記の1,740万の借地権を贈与した場合、平成30年度の国税庁の計算式によると、518万円の贈与税が発生します。
贈与税の計算式・【特例贈与財産用】を使用。(特例税率)
1,740✕45%(税率)ー265万(控除額)=518万円
出典:国税庁
実際には暦年課税を使って110万円の非課税枠を使えば408万まで贈与税を下げることもできる上、相続時精算課税法を利用できる条件であれば、贈与税は課税されません。
ただ何もしなければ、518万円が課税されます。借地権を贈与したしても贈与税は発生するのです。(所有権と何ら変わりありません。)
借地権をペアローンで組む場合は要注意!
→安易なペアローン一本化は超危険!借り換え時の贈与税リスクと回避法とは
借地権の売却時にかかる税金(高く売れたらの話だが)
譲渡所得税(所得税+住民税)
購入した借地権と建物が数年の内に売却し、利益が出た場合でも税金は発生します。
仮に3,300万円(諸経費込み)で購入したとして、3年後になぜか3,600万円(諸経費200万含む)で売れてしまった場合、税金がいくらかかるでしょうか?
ポイントは所有していた年数によります。
5年以内の場合は所得税30%+住民税9%のなんと39%が税金になります。
本件の場合、3,600万ー200万(諸経費)ー3,300万=100万が利益になるので、39万円の税金を納める必要があります。
もし、これが6年所有していた場合、5年以上所有していることになるので、課税長期譲渡所得扱いになり、所得税15%+住民税5%の20%!約半分まで税率の税金で済みます。
上記と同様の計算を行うと、税金は20万円で済みます。
基本的には借地権を売却して、購入よりも高く売れることは難しい(ほぼ無理)ですが、高く売れた場合のも税金が発生する事を知って貰えればと思います。
これは所有権も同じです。
まとめ:借地権は所有しない分税金は安い。
ココがポイント
☑借地権には固定資産税・都市計画税が一切かからない!ただし建物には固定資産税・都市計画税が課税されるので注意。
☑所有権とは借地権+底地権の事。借地権は土地を借りる権利として資産価値がある。相続税などは路線価を使って資産評価をする。
借地権の物件は、税金等では土地の評価額が6割程度になるので、税金が安くなります。
ただ所有権にはない、譲渡承諾・名義変更料・更新料・地代と所有権には無い、費用がかかりますので、これらの費用も見込んで検討する必要がありますね。
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